ランドクルーザー60のグレード選びは、乗用登録(3ナンバー・8人乗り)とオートマ(AT)を求めるなら「ガソリンVX(FJ62G)」一択、観音開きドアとマニュアル(MT)の道具感を味わうなら「GX」または「STD」が最適解です。
ただし、ランクル60は燃料(ガソリン/ディーゼル)によって選べるルーフ形状、ドア形状(上下開き/観音開き)、ナンバー区分(1ナンバー貨物/3ナンバー乗用)の組み合わせが厳密に決まっています。購入後に数百万円規模のレストアや構造変更で後悔しないためにも、各グレードの純正装備、フェイスリフトの経緯、現在の中古車相場を正しく把握しておく必要があります。
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ランクル60のグレード一覧と基本スペック・中古相場の違い
ランクル60系(1980年〜1989年生産)は、本格クロスカントリー性能にステーションワゴンとしての実用性を融合させたモデルであり、主に「STD(スタンダード)」「GX」「VX」の3グレードで構成されます。
1980年のデビュー時は丸目2灯のフロントマスクでしたが、1987年8月のマイナーチェンジによって角目4灯へとフェイスリフトが行われました。
項目 STD(バン) GX(バン/特装) VX(ワゴン/バン)
代表型式(ガソリン) M-FJ62V M-FJ62V E-FJ62G
代表型式(ディーゼル) N-HJ60V N-HJ60V P-HJ61V
乗車定員 5名 5名 8名(ガソリン)/ 5名(ディーゼル)
ナンバー登録 1ナンバー 1ナンバー 3ナンバー(FJ62G)/ 1ナンバー(HJ61V)
標準ルーフ形状 ロールーフ ロールーフ ハイルーフ
標準リアドア 観音開き 観音開き 上下開き
標準トランスミッション 5速MT 5速MT(AT設定あり) 4速AT / 5速MT
中古車相場目安 250万〜380万円 300万〜450万円 380万〜650万円
- ガソリン車はVXのみワゴン登録(3ナンバー・8人乗り・AT専用)が存在
- STD・GXは基本的に貨物登録(1ナンバー・5人乗り・MT主体)の設計
- 相場はオリジナル状態のガソリンVX(FJ62G)が最も高額で推移
ランクル60 スタンダード(STD)の特徴と装備仕様
STD(スタンダード)は、過酷な現場や官公庁、商用ユースを想定して開発された最もシンプルなベースグレードです。
丸目2灯の前期型から角目4灯の後期型まで一貫して設定され、無駄な装飾を徹底的に排除した武骨な内外装を特徴とします。
装備部位 STDの仕様
フロントグリル・前後バンパー グレー塗装
ドア水切りモール・窓枠モール ブラックゴム仕様(メッキなし)
雨どいモール メッキなし
シート表皮・フロア材 ビニール生地
タコメーター 非装着
パワーウィンドウ 手動式ウィンドウ
パワーステアリング・エアコン 新車時メーカーオプション
ステアリング機構 チルト調整機構なし
現代の中古車市場では、飾り気のないプレーンな佇まい、手回し窓、耐久性の高いビニールシートのレトロ感が再評価され、あえてSTDを指名買いするファンも増えています。
中古車市場での価格帯はおよそ250万〜380万円前後が目安となります。
ランクル60 GXの特徴と内外装の装備差
GXは、ビジネスユースからアウトドアレジャーまで幅広くカバーするランクル60の中核量販グレードです。
STDの実用的な骨格をベースにしつつ、外装各部にクロームメッキを配し、内装にファブリックシートを採用することで乗用車としての質感を向上させています。
装備部位 GXの仕様
フロントグリル・前後バンパー クロームメッキ仕上げ
各部ウィンドウモール・雨どい メッキモール装着
シート表皮 ファブリック(布地)
セカンドシート構造 一体可倒式
ボディ・ルーフ標準仕様 ナローボディ・ロールーフ
リアドア標準仕様 観音開き
ディーゼルモデルのGXでは、1982年以降にハイルーフ(電動サンルーフ付き)や4速AT仕様が追加され、選択肢が大きく広がりました。
中古車相場は300万〜450万円前後で推移しており、カスタムのベース車両としても最も流通量が多いグレードです。
最上級グレードVXの豪華装備と希少性
VXは、ランクル60の歴史の中で最も豪華な装備が与えられたフラッグシップグレードです。
特にガソリンモデルの「FJ62G」は、モデル末期の1988年から1989年までの約2年間のみ生産された希少モデルで、国内総生産台数は約1,300台にとどまります。

装備部位 ガソリンVX(FJ62G) ディーゼルVX(HJ61V)
エンジン形式 4.0L 直6ガソリン(3F-E / 155馬力) 4.0L 直6ディーゼルターボ(12H-T / 135馬力)
トランスミッション 4速ATのみ 4速AT / 5速MT
乗車定員・登録 8名(3ナンバー・3列シート) 5名(1ナンバー・2列シート)
オーバーフェンダー 標準装備(ワイドボディ) 後期角目より標準装備
ルーフ・リアドア ハイルーフ(サンルーフ付)・上下開き ハイルーフ(サンルーフ付)・上下開き
シート形状 ホールド型・セカンドシート分割可倒 ホールド型(TURBO刺繍入)・左右非対称可倒
クォーターガラス スライド開閉式 固定式(1枚ガラス)
ガソリンのVXは電子制御燃料噴射(EFI)を採用した3F-E型エンジンを搭載しており、従来のキャブレター車に比べて始動性や極低温時の安定性に優れています。
現在の中古車相場は380万〜650万円前後に達し、低走行・純正状態を保った個体は700万円以上のプレミア価格で取引されるケースもあります。
ガソリン車とディーゼル車におけるグレード展開の違い
ランクル60を選ぶ際、燃料種別によって選択可能なボディ形状やドアの組み合わせパターンが厳密に制限されます。
中古車選びで失敗しないためには、希望する組み合わせが純正のラインナップなのか、後年のボディ加工・換装によるものかを正確に見分ける必要があります。
ガソリン車のグレード・ボディ組み合わせ
- STD / GX:ロールーフ + 観音開き(5速MT・キャブレター式3F・1ナンバー貨物登録)
- VX:ハイルーフ + 上下開き + ワイドボディ(4速AT・EFI仕様3F-E・3ナンバー乗用登録・8人乗り)
- ※メーカー特装車として、GXに「ハイルーフ&上下開き(サンルーフなし)」が極少数存在します。
ディーゼル車のグレード・ボディ組み合わせ
- STD:ロールーフ + 観音開き(4.0Lノンターボ2H型・5速MT・1ナンバー貨物登録)
- GX:ロールーフ + 観音開きが基本。オプションでハイルーフ&上下開き、4速ATが選択可能
- VX:ハイルーフ + 上下開き(4.0L直噴ディーゼルターボ12H-T型・5速MTまたは4速AT・1ナンバー貨物登録)
- ※ディーゼル車のVXは1982年(丸目2灯時代)から設定されています。
ランクル60のグレード選びにおける注意点と構造変更の落とし穴
ランクル60の中古車市場では、新車時の仕様から大幅に変更されたカスタム車両が多数流通しています。
購入後の車検トラブルや予期せぬ修復費用の発生を防ぐため、以下の項目を必ず実車で確認してください。
- ロールーフ換装・丸目換装の加工精度:ハイルーフを切断して平屋根(ロールーフ)化した車両や、後期角目を前期丸目仕様に変更した車両は、雨どい付近のコーキング劣化による雨漏りや、溶接部の錆の有無を確認。
- ナンバー変更(1ナンバー⇔3ナンバー)の構造要件:1ナンバー(貨物)は毎年の車検と高速道路料金の区分(中型車扱いになるケースあり)に注意が必要。3ナンバー化には乗車定員や座席スペースの保安基準適合が必要。
- NOx・PM法規制の適合地域確認:ディーゼル車(HJ60V/HJ61V)は自動車NOx・PM法規制地域(首都圏・愛知・大阪など)ではそのまま登録不可。ガソリン車を選ぶか、高額な排ガス浄化装置の組み込みが必要。
自動車ジャーナリストの視点:ランクル60の価値とドライブフィールのリアル
ランクル60は、現行の電子制御SUVでは味わえない「強靭なラダーフレームと前後リーフリジッドサスペンションがもたらす重厚な乗り味」をそのまま残したヘリテージモデルです。
実際にステアリングを握ると、パワーステアリング装着車であっても現代の車に比べて据え切りや切り返しには相応の腕力を要し、路面の凹凸をダイレクトに伝えるリーフサスペンション特有の突き上げ感があります。
特にキャブレター仕様の3F型エンジン搭載車(GX/STD)は、冬場の始動時にチョークレバーを引いて混合気を調整し、暖機運転で水温と油温が安定するのを待つという独特の「儀式」を日常的に求められます。
そうしたアナログな操作感や維持の手間も含めて楽しめるドライバーにとっては、STDやGXのロールーフ観音開きモデルはまさに無二の相棒となります。
一方で、日常の足として家族を乗せ、長距離ドライブをストレスなくこなしたいのであれば、電子制御インジェクションとオートマを備えたガソリンVX(FJ62G)が最も現実的で価値ある選択肢であり続けると考えられます。
ランクル60グレード比較のまとめ
- STD(スタンダード):無塗装バンパー・手動窓・ビニール内装を備えた実用本位のベース仕様(相場:250万〜380万円)
- GX:メッキパーツとファブリックシートを装備したバランス重視の量販仕様(相場:300万〜450万円)
- VX:ハイルーフ・上下開き・ワイドフェンダーを備えた最上級仕様(相場:380万〜650万円)
- ファミリー・街乗り重視:EFIエンジンと3列シートATを備えた希少なガソリンVX(FJ62G)が最適
- クラシック・道具感重視:キャブ車や直噴ディーゼルを操るSTDまたはGXのロールーフ観音開きが最適
よくある質問
ランクル60の観音開きドアと上下開きドアはどう選べばいいですか?
観音開きはSTDおよび標準のGXに採用されており、狭い駐車スペースでの荷物の出し入れやレトロな外観が特徴です。上下開きはVXおよびGXのオプション仕様に採用されており、下側ゲートを開いてベンチや作業台として活用できます。
ガソリン車のVXとGXでは燃費や走りに大きな差がありますか?
VXは電子制御燃料噴射(3F-E)を採用しており、GXのキャブレター式(3F)に比べて始動性やアイドリングの安定性に優れます。カタログ燃費はVX(4AT)で4.3km/Lとなっており、実用燃費はいずれのモデルもリッター3〜5km前後が目安となります。
1ナンバー登録と3ナンバー登録の違いは何ですか?
1ナンバー(貨物登録・5人乗り)は自動車税が割安な反面、車検が1年ごとになります。3ナンバー(乗用登録・8人乗り)は車検が2年ごとですが、排気量に応じた自動車税が課されます。年間維持費と乗車人数のバランスを考慮して選択する必要があります。

